飲食店の転職準備(心構えと転職理由)
1. 飲食店で働く心構え
飲食業は「人」のビジネスであります。
お店の経営、お店とお客様の関係、一緒に働くスタッフ、すべて人間関係によって成り立つことですが、とりわけ「おもてなし業」ということが最も重要なポイントとなります。また、繁盛店や魅力的なお店とそうでないお店の違いは、料理やお店のつくりなど同じサービスを提供しても、そこで働くスタッフの“気持ち”“想い”がこもっているかの差があります。
飲食店の仕事は一見華やかに見えますが、サービス業なのでとても大変です。普通の企業だと土日休みのところが多いですが、飲食店の場合は土日など普通の人が休みの時が繁盛する時のため、仕事の休みは平日が中心となります。また、ホールスタッフ、厨房スタッフ共に立ち仕事が基本となるのでかなり体力を使います。しかし、他の仕事と比較すると向上心や将来の目標を持って働いている人が非常に多いので、将来は独立したいなどの夢を持つ人も珍しくはありません。また、働いている年齢層も幅広いので人間関係についてもしっかりと学ぶことが出来るでしょう。
また、30兆円ともいわれる飲食業界は現在、高品質の料理や接客サービスに対応する「本物志向」の店舗と、大規模なマーケティング戦略とコストダウンを進め「チェーン化」させていく店舗の二極化の傾向があります。飲食店で働く想いの他に、自分に合った環境がどのタイプであるかを考えるのが、転職するにあたり非常に重要なポイントであります。
2. 転職理由を明確にする
あなたはなぜ転職をするのでしょうか。
どんな会社でも働き続けていると「仕事がつまらない」「人間関係がよくない」などの不満はでてきます。
まずは、『転職をしない』を前提に、あなたが本当に転職をしなければいけない理由をさぐりましょう。
■ケース① 仕事がつまらない
不満をスキルアップにつなげるためには「だからこうしたい」という希望が必要です。
自分の意志や希望を明確にするためには、現状を分析し、本当にやりたい事を探すことから始まります。
◇店舗の位置と自分の位置を知る
自分の店舗が業界でどんな位置にあり、その中で自分はどんなポジションにいいるのかを考えます。
お店事情を理解し自分の役割がみえてくると、社内で「できること」と「できないこと」の区別ができるようになります。
◇店舗内で解決する方法を考える
「何が不満か」から「どうしたら解決できるか」という提案を考えます。
例えば、「人の仕事までやらされる」ことが不満であれば、仕事を効率化する・均等に振り分ける・人員増加の提案など、いくつかの方法があります。難しいかもしれませんが、提案を実行にうつすまでやってみよう。
◇自分が何を求めているかを知る
どうしても状況が全く変わらなければ転職を考えてみてもよいかもしれません。
ただし、ある程度納得できる成果があれば成功です。自分がどこまでを求めているのか、この結果と過程を通してはっきりしたはずです。
次はその希望が実現できる場を探す事からはじまります。
■ケース② 給与が不満
転職動機の上位にランクされるのがこの理由です。
「月収が少ない」「賞与がない」「正当な評価をうけていない」など社内評価の不満も含まれます。
自分がおかれている環境など全体を通して、本当に見合っていないのかを探っていきます。
◇業界の水準を調べてみる
給与体系は店舗によって異なり、大手企業でも低く抑えている店舗もあります。
まずは業界全体の水準を調べてみましょう。
◇給与を上げる努力をしてみる
社内で給与を上げるには、基本的に経験を積んでスキルアップするか、実績をつくってアピールするしかない。簡単なことではないが、そもそも給与を上げることが簡単にできるはずはないのです。
◇給与額だけではなく他の要素も考慮する
給与があがる見込みはないが、事情があってどうしても上げたい等の場合は、転職するしかないでしょう。
ただし、リスクとリターンのバランスを考えて現在の店舗にとどまるのも方法です。転職して給与を上げても、それなりの実績は要求されます。給与面の他に不満がなければ、まずは今の職場で実績を作ることにはげんでもよいのではないでしょうか。転職を考える場合は、転職直後の給与だけではなく、その後の給与体系や推移、評価制度などしっかり確認しましょう。
■ケース③ 人間関係が原因
飲食業界の退職理由のトップは「雰囲気が悪い」「上司を尊敬できない」などの人間関係です。
しかし採用側はこれを理由とする転職者を好みません。また、転職先でこの問題が解決するとも言い切れません。まずは今の現状を改善する手段がないのか、検討していきましょう。
◇職場との距離を一定に保つ
人間関係に不満があるのは職場への依存度が高い証明でもあります。周囲の人に期待している分だけ失望感が大きいのです。基本的には仕事で繋がっている人間関係であると考え、関わりをはっきりさせよう
◇相手の気持ちを考えて行動する
不満に思っている相手は、逆に自分をどう思っているのでしょう。それが良くも悪くも、気持ちがわかれば対処の方法もみえてきます。また、人ではなく業務のプロセスや評価方法が正当でないなど、その不満が本当に人間に起因しているのかを考え、別の解決策を探してみましょう。
◇「人間関係」だけなら動機にならない
不満や転職理由が「人間関係」だけでは、転職は難しいです。周囲との円滑な関係を作る努力を自らできなければ、転職先でも同じ不満が起こる可能性は高いです。自分を伸ばすためにプラスの方向で転職する気持ちを大切にしましょう。
本当にしたいことを整理する
- ① 一番やりたいことはなんなのか…本当にやりたいことを具体的に
- ② 優先順位をつけて希望を具体化する…譲れない必要条件と妥協できる十分条件をはっきりさせる
- ③ 見えてきた理想像に現実性はあるか…現状の自分のスキルなどが見合うか分析する
- ④ 他人の意見を積極的に取り入れる…客観的な評価を受け入れ、視野を広げる